「社員を大切にする会社を作りたかった」
これは私が幼少期に聞いた創業者である祖父の言葉です。約60年前の昭和38年、高度経済成長期のまっただ中で、日本全体で建物や設備の建設が盛んに行われていました。当時は「ブラック企業」という言葉は存在せず、代わりに「モーレツサラリーマン」や「企業戦士」という言葉が流行っており、建設業従事者は昼も夜も休みなく働いていました。そんな状況で、冒頭の創業者の想いを背負ってサン電工社は設立されました。
社員同士のつながりと助け合う風土
そこから60年経ち、私は3代目として社長に就任しました。大学卒業後、金融系の会社に就職して、26歳でサン電工社に転職しました。入社してまず最初に驚いたのは社員同士の仲の良さでした。前の会社は業界柄お堅く、転勤も多かったので同僚や上司とはあくまで仕事上だけの関係でした。当時はそれが普通だと思っていたのですが、サン電工社に入社すると社員同士よく飲みに行くし、上司や先輩の家に家族で遊びに行く人もいるし、仕事中もしょっちゅう笑いながら雑談しているし、とてもみんな仲よく仕事をしている印象を受けました。
今でも記憶に残っているのが、私が入社2年目に現場責任者をしている時のことでした。その現場は夜間作業で夜9時から朝5時頃までの現場だったのですが、私がミスをしてしまって到底5時には終わりそうにありませんでした。そんな状況で、別の現場で夜間をしていたメンバーが自分の現場が少し早めに終わったということで、わざわざ遠いところから駆けつけて手伝ってくれました。そこから大急ぎで現場を終わらせ、なんとか大事にならずに済みました。冬の明け方で、自分の現場が終わったらすぐ帰って寝たいところなのに、わざわざトラブっているやっかいな現場に駆けつけてくれた周りのメンバーの優しさや助け合いの心は今でも忘れません。
社長の役割
その後、私は社長という立場になり、どういう会社にしていこうかと日々自問自答しています。建設業は3Kやブラックな業界と言われたりします。しかし我々は、インフラエンジニアとして日々の生活にはなくてならない仕事を担っていて、他の誰にも代えがたい非常に専門性の高いスキルを持っています。社長として、それに見合う対価を提供しなければいけないという思いで、就任以降、給与などの待遇や労働環境を改善してきました。これが実現できたのは社員の努力と成長のおかげです。こんなことを続けていると、社員満足度の数字も上昇していき、実際に「会社がどんどん変わってきている」「周りの同業に比べたらとても働きがいがある」なんて声も聞こえてくるようになってきました。こういった声が聞こえてきた時に、私自身も仕事のやりがいを感じ、モチベーションがとても上がります。そして、これこそがサン電工社における自分の存在価値なんだと実感しました。
笑顔にあふれる人生を
当社に入社したからには、笑顔にあふれる人生を送ってほしいと思っています。先輩から後輩に受け継がれている「楽しく温かみのある社風」と冒頭の創業者の言葉どおり「社員を大切にする会社」という想いをこれからも大切にして、九州のインフラを支え続けていきます。
代表取締役社長 土井隆太郎